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[音楽] こんにちは、ゆっくり霊夢です。こんにちは、ゆっくり魔理沙だぜ。霊夢、ボノボという動物を知っているか?ボノボって、チンパンジーみたいな動物だよね。でも、そっくりすぎて見分がつかないんだけど。
そうだな、ちょっとだけチンパンジーより小柄なので、ピグミーチンパンジーって呼ばれていたこともあるけど、チンパンジーとは共通の祖先から枝分かれした、べつの生き物なんだぜ。チンパンジーは人間の遺伝子とそんなに違わないっていうし、ボノボとも近いのかな?
そうだな、遺伝子だけで見ればチンパンジーの方が僅差で人間に近いけど、生体を見るとチンパンジーよりボノボの方がより人間に近いのではないかと言われているんだぜ。
そうなの?そんなボノボは、自らを家畜化させた生き物でもあるんだ。自分を家畜化する、それは一体どういうこと?それでは今回は、そんなボノボについて解説するぜ。この動画では、ボノボの基本情報からボノボの不思議な社会生活、自分を家畜化しているというボノボの真実について紹介していくので、最後まで見ていってくれ。それでは、ゆっくりしていって[音楽]ね。
ボノボは哺乳綱霊長目ヒト上科チンパンジー族に分類される霊長類だ。アフリカ中央共和国中部の熱帯雨林に生息しているぜ。体長はオスが平均80cm、体重45kg。メスは平均73cm、体重36kgほどだ。オスの方がちょっと大きいんだね。同族のチンパンジーのオスには60kgにもなる個体もいるので、それと比べると小柄だということが分かるぜ。体型も細く、脳の容量もチンパンジーより小さい。よく比べれば、チンパンジーと体格に差があるんだね。脳が小さいということは、チンパンジーよりも劣っているのかな?でも、パッと見は全然区別つかないね。だな。だからボノボは以前はチンパンジーの一種とされ、ピグミーチンパンジーと呼ばれていたぜ。ところが、1928年、ドイツ人の動物学者エルンスト・シュヴァルツがベルギーのブリュッセル近郊にある王立博物館にあったチンパンジー両方を比較していた時、従来のチンパンジーとは異なる新種であることを発見したんだ。以来、ボノボは立派な種の1つとして知られるようになったぜ。それまではやっぱりチンパンジーだと思われていたんだね。専門家がじっくり比較しないと分からないくらい似ているんだ。
前足の指を曲げて四足歩行するナックルウォークや二足歩行で地上を移動する。雑食性で、果実、植物の葉、昆虫、魚、小型の哺乳類まで様々なものを食べるぜ。ボノボはほとんど地上で生活するので、食べ物も地上性のものが多い。そして、群れの中では食物を分け合って食べる行動が見られるぜ。平和的で仲良しなんだね。手を差し出すと、大抵のボノボは食べ物を分けてくれる。自分より格上の仲間にも分けてくれるんだ。野生動物とは思えない穏やかな行動だね。それだけじゃない。仲間同士の喧嘩もないんだぜ。
喧嘩しないの?チンパンジーも喧嘩しないの?飼育されたチンパンジーは大人しく見えるが、野生のチンパンジーはかなり凶暴で、仲間を殺すことすらある。それと比べると、ボノボはとても平和的な動物なんだぜ。ボノボはチンパンジーと見た目はそっくりでも、性格がまるで違うんだね。
もう少しボノボとチンパンジーの違いについて詳しく見てみよう。ボノボとチンパンジーは元は共通の祖先を持っているぜ。体格に少し違いがあるけど、ほとんど同じだもんね。社会構造も大体同じだ。ボノボもチンパンジーも複数のオスと複数のメスが一緒に生活するコミュニティで暮らすぜ。オスは生まれた集団に一生とまるが、メスは性成熟すると自分が生まれた集団を離れて他の集団に移籍する。こうした社会構造を不均衡型の社会構造というぜ。メスが出ていくの?霊長類を含めた哺乳類の多くはその逆だ。メスが自分の生まれた集団にとまって、雄が移籍する母系型の社会構造が一般的だぜ。だから、不均衡型の社会構造を持つボノボやチンパンジーは例外的な存在でもあるな。
そうなんだ。それがおよそ200万年前、地殻変動によりアフリカ中央を流れるコンゴ川ができたことで、チンパンジーとボノボの生息域は北と南で隔てられてしまったんだ。お互いの交流はあったの?チンパンジーもボノボも泳ぐことができない。だから、川で隔てられた彼らは全く交流がなかったぜ。そのため、別々の進化を遂げることとなったんだ。でも、元は同じ種で、川に隔てられたとはいえ、気候は大きく変わらないし、地形的差があるようには見えないから、同じように進化するんじゃないの?全く同じ環境だったらそうだったかもしれないな。しかし、2つの地域には大きな違いがあったんだ。それがゴリラの存在だぜ。ゴリラ。チンパンジーが生息する場所にはゴリラも生息している。元は木の上の果物や地上の食物などを食べていたが、地上にはゴリラがいるため、チンパンジーはこのゴリラとの競争を避けるために木の上中心の生活となり、主に木の果物を食べるようになったんだ。だから、チンパンジーは木の上を上手に移動できるんだね。
チンパンジーの群れでは、オスが乱暴に走り回ったり、他のオスを攻撃する行動が見られるぜ。そうやって強さをアピールしているんだよね。チンパンジーの社会では、他のオスから一人前のオスと認められるためには、群れの全てのメスを恐れさせる必要がある。このようにして、オスはメスを支配して群れの秩序を守ろうとしているんだ。そして、一番強いチンパンジーが群れのボスになるんだね。餌を取るのもオスが最初だ。立場が弱いメスや子供は残り物を食べ、時には物乞いまでしないと餌にありつけないぜ。チンパンジーはオス中心の社会だから仕方ないね。縄張り争いもとても激しい。餌を求めてうっかり他の群れと出会おうものなら、激しい群れ同士の闘争となるぜ。時には、逃げ遅れた子供のチンパンジーが犠牲になることもあるんだ。動物園で見るチンパンジーはこうした他の群れがないから、凶暴さが感じられなかったんだそうだ。このように、チンパンジーの社会では強いオスが権力を持つため、とても凶暴なオス中心の社会を形成している。それと比べると、ボノボは仲間同士で食べ物を分け合うなど、本当に平和なんだね。それはやっぱりボノボの生息域にゴリラがいなかったことが大きい。木の上の果物も地上の食べ物も食べ放題だ。食べ物に困らなかったんだね。また、チンパンジーは木の上で生活することから大きなグループを作ることができず、小さなグループがたくさんあるから争いが絶えない。一方、ボノボは広い安全な土地で暮らせたたため、大きなグループを作ることができた。50頭から120頭もの大きな群れを作って生活している。平和だね。実は、ボノボはメスのほうが権力を持つ社会なんだぜ。
メスのほうが権力があるの?凶暴なオスが仕切る恐怖社会ではなく、平和を愛するメスによる社会が築かれているんだぜ。なんでボノボはメスが権力を持ったんだろう?大きな集団になったことで、凶暴なオスに対してメスたちが協力し合うことができたからではないかと考えられているぜ。オスに対抗できるようになったため、メスの社会的地位が高まったのだろう。集団でメスに対抗されたら、凶暴なオスも立ち向かえないのは、人間社会で考えても想像できそうだね。ボノボの集団ではメスと子供たちが常に中心にいるけど、もしオス同士が喧嘩をすると、直ちにそれぞれの母親が駆けつけて仲裁するんだぜ。お母さんが子供の喧嘩に仲裁するの?時には母親同士が戦いを変わって引き受けることもあるんだぜ。もしかしてメスがボスなの?いや、グループのリーダーは一応オスだ。だけど、仕切っているのはそのボスの母親なんだ。ボノボの群れでは、長の最も優位のメスの息子が第一位のオスになるとしたら、群れの第一位のオスになるには強いお母さんの後ろ立てが必要なんだね。ボノボ社会ではメスが大きな力を持っているんだ。食料の優先権もメスが持っているぜ。メスが一番いいところを食べるし、メスにねだられればオスは自分の持っている餌を手放すんだ。オスが優しい。でも、長い時間をかけて穏やかな性格のオスの遺伝子が引き継がれていったのかもしれないね。だから、同じ祖先を持っているのに、ボノボとチンパンジーは全く性格が違う生き物になってしまったんだね。
そんなボノボとチンパンジーだけど、彼らを実際に合わせてみたらどうなるのかという実験があったぜ。気になるね。どうなったの?チンパンジーは凶暴な性格なので、ボノボを見た瞬間に威嚇したぜ。そりゃ仕方ないね。似たような見た目なんだから、別の群のチンパンジーだと思って威嚇するのは当然だよ。一方ボノボというと、争いを好まない性格なので、餌をチンパンジーに分け与えようとしたり、腕をチンパンジーの方へ伸ばしてみたり、お腹を見せて友好的な合図を送ったりしたんだ。うわあ、知らない猿に対してもとても友好的なんだね。だけど、そんな習慣を持たないチンパンジーには理解できなかったんだ。やっぱりダメだったんだ。ボノボとチンパンジーは理解し合わないんだね。ボノボもチンパンジーも共通の祖先を持っているので、遺伝子もほとんど同じだ。DNAレベルではわずか0.4%しか違わず、非常に近縁種であると言えるぜ。ほとんど同じ種みたいなものなのに、環境の違いで全く違った進化を遂げてしまったんだ。[音楽]ね。
こんなにもボノボとチンパンジーで性質が違うのには、もう一つ大きな秘密がある。それが性行動だ。性行動というと、繁殖を目的とした性行動のことだけど、ボノボは性行動以外にもバラエティに飛んだ性行動が見られ、しかも相手は誰でもOKなんだ。ちょっとちょっと、モラル的に大丈夫?そこはモラルを重要視する人間には理解できない部分かもしれないな。でも、この性行動によるコミュニケーションがボノボの社会に平和をもたらしていると考えられるんだぜ。ちょっとにわかには信じられないんだけど、オスとメスの間はもちろんだけど、メス同士やオス同士、さらには子供にも見られるんだ。子供もメス同士の場合、互いの性器をこすりつけ合う行動が見られ、ホモセクシャルとか、GGラビングと呼ばれているぜ。オスは互いの尻をくっつけたり、一方が他方に馬乗りになるマウンティング行動が見られる。なんでそんな行動するんだろう?特に興奮や緊張が走った時に、それをほぐすような行動として現れるようだ。例えば、餌である果実がたくさん見つかった時、ボノボはまずこうした性行動を取る。嬉しい時にもついやってしまうんだ。その後、優位なものから果実に手をつけ始めるぜ。また、群れに新たにメスが加入した時は、挨拶代わりに新入りのメスが群れの年長メスと行う。すると、両者間の緊張は一気にほぐれて、一緒に並んで餌を食べ始めるぜ。最初の握手みたいなもんだね。しかも相手はオスじゃなくて、権力を持っている年長メスなんだ。性行動は新入りのメスにとっては大事なコミュニケーションなんだね。他にも喧嘩の前後や餌をねだる時などにも性行動を見ることができるぜ。ボノボにとって性行動は挨拶みたいなもんなんだね。このように、オス・メス関係なく誰とでも性行動をすることから、ボノボの性行動は乱交型と呼ばれるぜ。あんまりいい言葉には聞こえないけど、なんでボノボは特定の相手にこだわらないのかな?動物行動学者のフランス・ド・ヴァールは、ボノボはこのような乱交的な性行動を行うことで、結果的に父親が誰であるのか分からなくなるような社会を作り上げたと言っているぜ。確かに、誰の子かわからないね。そうすることで、悲惨な子殺しを回避することができたのではないかとも言っている。母親が権力を握るボノボの社会だから、父親が誰かなんか気にしないし、父親の因縁で殺される子供もいないんだね。
野生動物には発情期というものがある。発情期は排卵するタイミングで起こるので、交尾をすると妊娠できる期間ということになるぜ。単にそういう気分の時のことじゃなくて、ちゃんとホルモンという体からのサインがあって発情期って起こるんだね。気分で発生するのは人間ぐらいだな。ちなみに、年中発情できるウサギは性器の刺激でホルモンが起こる。だから、野生動物にとってホルモンと発情は切っても切れない縁があると言えるぜ。そうなんだ。そして、大抵は妊娠期間や子育て中は排卵が起きないから、発情することがない。当然、交尾もしないものだ。それはチンパンジーも同じで、5年に1回出産するけど、妊娠や子育て中は交尾をしないぜ。もしかしてボノボはウサギみたいなホルモンの仕組みを持っているの?いや、ボノボもチンパンジーもホルモンに関してはほとんど同じだ。メスは排卵日の2週間ほど前から性器が丸く膨れ上がる。これが発情のサインだ。ボノボの性器はピンク色をしていて、顔ほどもの大きさに膨れているので、遠くからでも分かるぜ。それを目印に交尾すれば妊娠するということなんだね。チンパンジーの場合、1回妊娠すると、その後生まれた子供が独立するまで発情を再開しない。ところが、ボノボのメスは妊娠していても、出産の直前1ヶ月くらいまで発情サイクルを継続するだけでなく、出産後約1年で発情サイクルを再開するんだぜ。どういうこと?妊娠中は排卵がないから発情しないんじゃないの?そうだな、妊娠している間はもちろん排卵しないし、子供が独立するまでの期間も排卵が起きてない状態だ。つまり、ボノボのメスは妊娠してから子供が独立するまでの間、排卵していないにも関わらず発情していることになる。要するに、無駄に発情しているの。偽発情なんて呼ばれることもあるな。つまり、ボノボは妊娠に結びつかない時期にも発情するんだ。チンパンジーと比較した場合、偽発情で発情する期間は7倍にもなるぜ。そんなにボノボのメスの発情期は長いんだね。それでもウサギみたいに増えないのは、ホルモンサイクルがチンパンジーと変わらないからなんだ。この発情期の長さもまた、ボノボの社会でメスが力を持つ理由の一つと考えられているんだぜ。
なんで発情期が長いとメスが強くなるの?チンパンジーと比べると、ボノボのメスの方が交尾をする機会が多くなる。もちろん、排卵を伴わないので妊娠はしないけど、性器を膨れさせて発情のサインを示しているので、交尾が可能だ。そうしたら、群れの中では交尾できるメスがたくさんいることになるね。チンパンジーの社会では、オスは自分の子孫を繁殖させないといけないという使命がある。でも、発情期のメスは限られてしまう。そんな発情期のメスを巡って、オス同士は激しい争いをするわけだ。それで、凶暴なオスがボスになるんだね。ボノボの社会みたいに発情期のメスがたくさんいたら、そのオスの争いが起こりづらくなるね。高い順位のオスが発情したメスを独占する必要もない。そうなれば、オスの順位なんかそんなに重要じゃなくなるぜ。オスがメスを奪い合わなくなると、今度はメスがオスを選べる自由度が高まる。チンパンジーのメスは強いオスに従うしかなかったけど、ボノボはメスがオスを選べるんだ。そのため、ボノボの交尾の最終的な選択権はメスにあるんだ。順位に関係なくたくさんのオスが自由にメスを交尾に誘えるとなると、メスは誘いかけてくるオスの中から気に入ったオスと交尾をすれば良いわけだな。へえ。メスが応じなければ交尾は成り立たないなら、オスたちはメスに好かれるように努力するしかないわけだね。ボノボのメスたちがオスたちに対して優位に行動できるのは、こういった性行動の事情も関係しているのかもしれないね。[音楽]
自己家畜化という言葉を聞いたことがあるだろうか?進化人類学者のブライアン・ヘアは、ボノボは進化の過程で自己家畜化した動物だと主張しているぜ。自己家畜化?自分のことを家畜みたいに首輪でもつけて飼うの?日本語の家畜という言葉には、どこかしいたげられた動物のようなマイナスのイメージがつきまとうので、まるで自分自身に鞭でも打って家畜となり下がるような響きに聞こえるかもしれないな。そこまで言ってない。家畜化は英語でドメスティケーションと書きますぜ。中性的なラテン語の「domesticus」に由来し、飼育される動物や植物なども含まれるんだぜ。野生じゃなくて、人間が何らかの手を加えたという感じかな。そして、自己家畜化とは、野生生物が人間との共同生活に適応する過程で、人間の手によってではなく、自然淘汰の流れの中で適応として、温厚な性格を身につけることを指している。どんなことが自己家畜化なの?例えば、犬だな。今や様々な品種改良されているから、一見人間によって家畜化されたと思われがちだけど、元は狼みたいな犬の祖先の中でも、人間を恐れず、食べ残しなんかをもらいに来たものが、そのうち人間と共にうまく共存していったと考えられているんだぜ。元は自己家畜化した温厚な犬の祖先がいたということ。このように、人に気に入られるよう自ら温厚で従順な性格を身につけることが自己家畜化だ。だとすると、人とのかかわりが自己家畜化には必要そうだね。ボノボも人間に対して自己家畜化したの?そういうわけではない。人間以外の動物が温厚で従順な行動を進化させた場合も自己家畜化とされるんだ。最初に紹介したヘア氏が言うボノボの自己家畜化はこちらのことを指すぜ。人間に対してじゃなくて、人間以外の動物の社会の中で温厚な性格に進化したから自己家畜化しているというんだね。だとしたら、確かに平和的なボノボは相当自己家畜化したようだね。
実は、人為的であるかどうかに関わらず、家畜化した種には行動面以外にも見た目にも特徴が現れるんだぜ。例えば、色が白っぽくなったり、尻尾がカールしたり、小さな体、小さな頭蓋構造を持ち、顔は短く子供っぽい平坦な印象になるんだ。そういえば、ボノボはチンパンジーより脳が小さいって言っていたね。ああ、チンパンジーと比べると頭蓋骨は最大20%も小さいぜ。知能が劣っているんじゃなくて、家畜化した結果小さくなったんだ。他にも、歯は小さく、お尻周りの毛が白く、唇はピンク色をしているぜ。それに、顔の突起も平坦化している。体つきが細く軽いというのも、家畜化された種に見られる特徴だ。ボノボはチンパンジーと比べたら小さく、体重も軽かったね。また、行動面では温厚性以外にも、オス・メスの差が少なく、遊び好きというのも家畜化の進んだ種で観察されているが、ボノボも同じ特徴が見られるんだ。チンパンジーのオス・メスと比べたら、ボノボのオス・メスはフラットな関係だよね。ここまで家畜化した動物の特徴が出ているというのであれば、ボノボは間違いなく自己家畜化した動物と言えそうだね。ここで一つ疑問ができる。なぜ同じ祖先を持つチンパンジーは自己家畜化せず、ボノボは自己家畜化したのか?うん、それはメスに主導権があったからなのかな?それが一番大きなポイントだろうな。ボノボの生きる土地にはゴリラのような食べ物を競争相手がいなかったから、生活が安定し、グループも大きくなることができた。集団が大きいと、力が弱いメスでも協力し合って凶暴なオスに対抗できたんだよね。ボノボはオスが攻撃的な行動を取ると、メスが二等三等と集まってそのオスに反撃する。チンパンジーもボノボもオスが集団に残り、メスが出ていく不均衡社会なので、集団内のメス同士には血縁関係がないんだ。そうか、血がつながらない他人なんだ。猿だけど、人間以外の動物で血縁関係がない個体同士が協力して力関係を変えることはとても稀なことなんだぜ。そこからメスの社会的地位が上がって、ボノボの社会ではメスが権力を握っていったんだ。あらゆる選択権は常にメスにあったよね。食べ物も、性行動も、メスが決めていたよ。だから、暴力的で攻撃的なオスは交尾の対象としてメスに選んでもらえなくなってしまったんだ。だから、オスはメスに気に入られる温厚な性格にならざるを得ない。結果として、強さを持った暴力的なボノボは淘汰され、オスからは攻撃性が減り、メスとも近い性格になっていく。そんな性格のオスとメスが子供を生めば、その子供も温和な遺伝子を受け継いでいくだろうね。このように、ボノボが自己家畜化したのは、メスに交尾相手の選択権があったからだと言える。要するに、メスに権力があったということだ。ボノボは自分たち自身の影響で自己家畜化していったんだね。
先ほど、自己家畜化には人間以外の動物が温厚で従順な行動を進化させた場合も含むと話したな。ボノボと同じく人間以外で自己家畜化したのが人間だ。人間が温厚性を持って活動するのは、自己家畜化していたからだったんだ。ハーバード大学の生物人類学者リチャード・ランガムによると、人の場合、進化の過程で言語を話せるようになったことで温厚性が生まれ、やがて人類は暴力性を抑えることができるようになったとしているぜ。ボノボも大きなグループでメスが協力し合って暴力的なオスをやっつけていたね。人間社会でも、人前で公然と暴力を振るうものはいない。野生動物のように、かっとなって暴力を振るう人間は淘汰されたんだ。それで、人間も自己家畜化した動物であると言っているんだね。また、ボノボ社会では性行動の選択権がメスにあったが、人間社会も似たような傾向が見られるぜ。確かに女性の同意がなければ犯罪者扱いされるよね。ボノボの性行動では、排卵を伴わない偽発情というのがあったけど、繁殖を目的としない性行動をするのは人間とボノボだけだそうだぜ。そうなんだ。また、性行動の時にお互いが向かい合わせで行為をする正常位も人間とボノボしかしないんだぜ。よくよく比べてみれば、ボノボと人間って共通することがたくさんありそうだね。人が現在のように進化できたのが自己家畜化のおかげだとしたら、さらに長い時間をかけてボノボも人間のように進化したりして…。人とボノボにはたくさんの共通点があったが、それでは何が違うのだろうか?確かに、人とボノボって何が違ってこんなにも姿形や社会が違うんだろう?ちなみに、人とチンパンジーのDNAの違いはわずか1.2%、人とボノボでは1.3%の違いがある。数値だけで見れば、わずか0.1%の違いではあるけど、チンパンジーの方がより人に近いと言えるぜ。でも、どう見てもボノボの方がより人に近い社会を築いているよね。もしかしたら、人と猿の違いは遺伝子だけの問題じゃないのかな?それに同じく自己家畜化させた生き物として、人もボノボも確かに平和で暴力がない社会を築いているように見える。でも、人間はまだ戦争をやめないのはなぜだろうか?本当だね。それがなければ、人間もボノボみたいにもっと平和に生きられる気がするよ。先ほども紹介したランガムによると、暴力は二つに分けられると言っているぜ。一つは反応的暴力性というもので、感情的・一時的な怒りや気まぐれによる暴力のことだ。もう一つは能動的暴力性というもので、これは計画的・冷静沈着にふるまう暴力のことだ。なんで分けているの?この二つの暴力は脳の働く部分が違うので、異なる機能の暴力となるからだ。そして、ボノボが排除した暴力は全て反応的暴力に当たるぜ。なるほど。人間は、野生動物みたいに感情的に暴力を振るう人はいないよね。そして、人間のほうが能動的暴力性が残るんだ。知能があるがゆえに、計画的に戦略的に暴力を振るうことがある。その最たるものが戦争だろう。人は温厚性を持って平和に暮らせるよう自己家畜化したというのに、計画的な犯罪や戦争はなくならない。ランガムはこれを善と悪のパラドックスとしているぜ。なるほどね。もしかしたらボノボこそ、本当の意味で自己家畜化に成功し、平和な社会を築けた唯一の存在なのかもしれないね。
実は、ボノボは絶滅危惧種に指定されている動物なんだぜ。ボノボの野生における生息数は1万頭から2万頭だと言われている。そして、今も数を減らし続けているんだ。なんでボノボは減り続けているの?ボノボの生息地であるコンゴ民主共和国では、1990年代から2000年代にかけて繰り返し戦争や内紛が起きている。それに、森林伐採や農地開発によってボノボの生息地の多くは破壊されたり、分断されたりしてしまったんだ。いろんな原因があるんだね。それだけじゃない。ボノボはなんと食料用にも密猟されているんだそうだぜ。ボノボを食べるために殺しているの?ボノボの狩猟は法律で禁止されている。でも、未だに食肉用の密猟が後を絶えない。こうしたこともボノボの生息数が減少している原因の一つになっているんだぜ。ここまで、まるで人間のような生き物だと見てきたから、とても胸が痛むね。一方、保護活動も進んでいて、今後の希望団体ボノボの会は親を失ったボノボや売買されたボノボを野生に戻す活動をしているんだ。ボノボは発見されて以来、私たち人間に霊長類や人の進化について様々なことを教えてくれた大切な存在だよね。これからも大切な仲間として付き合っていけるといいね。
今回の動画は以上だぜ。ボノボについて解説してきたけどどうだった?見た目はまるでチンパンジーと同じで、祖先も同じなのに、中身はまるで別人じゃなかった?別種で驚いたよ。性行動の特徴もびっくりだったな。人間にはなかなか真似できないことだけど、もしかしたら本能的な性こそが平和の秘訣なのかもしれないぜ。自己家畜化っていうとちょっとネガティブな印象だけど、要するに温厚で従順で、人間と仲良くなれる存在ということなんだね。ボノボは野生動物でありながら、今すぐにでも私たちと仲良くなれる動物なんだ。この動画が面白かったらチャンネル登録とグッドボタンをポチッとしてくれると嬉しいぜ。よろしくお願いいたします。それでは、最後までご視聴ありがとうございました。[音楽]