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岡市に住む山田幸なさん、19歳。全身に力が入りません。味も匂いも感じません。
大丈夫。体に異変が起きたのは2年半前に新型コロナに感染してから。医は新型コロナによる後遺症と診断されています。新型コロナ後遺症には200種類以上の症状があると言われています。倦怠感や思考力の低下、体の痛み、抜け毛や不眠など多岐にわたります。国の最新の調査ではコロナに感染した人のうち1割から2割が後遺症を発症するという結果も発表されていますが、治療法やメカニズムは分かっていません。
「検査をして何にも異常がなければうちの病院に来ても見るものありません」って言われちゃったんですよね。なので受け入れてくれるところがなくて。コロナは風化してるし、「コロナはただの風邪だよ」っていう人もいるから。いる中でもコロナ後遺症で戦ってる人を忘れないでほしい。
こんにちは。今日はよろしくお願いいたします。
京都大学大学院の上野秀樹です。私も25年以上免疫の働きと病気やアレルギーなど病気との関係を研究してきました。コロナの後遺症っていうのが、あの、まあ、大体その多くのケースがやっぱり免疫が関わってるんですね。
それでどういう風なことが起こっているのか、幸なさんみたいなことが起こっているのかっていうことを、まあ、解明として知りたいっていうのももちろんありましたし、逆にそういう風に見つけることで幸なさんも救われるところがあるんじゃないかなというところが一番大きかったです。
山田幸なさんの両親の希望を受けて、私たちは上野教授の研究チームに血液検査を依頼しました。去年9月、京都大学の医師が幸なさんから血液を採取、京都大学へ持ち帰りました。それから1ヶ月後、10月、血液検査の解析が終わったという連絡を受け、京都へ向かいました。
「ここが実験室ですね。」
上野教授は血液を分離して免疫の働きを調べています。上野教授が専門とする免疫はウイルスや細菌などから体を守る仕組みで、新型コロナ後遺症はその免疫に乱れが生じているのではないかと考えています。
上野教授はコロナ後遺症を発症した100人以上の血液を解析した結果、免疫を司る細胞の乱れが後遺症を引き起こしている可能性が高いことを突き止めました。
「あ、終わりました。」「お願いします。」「はい。」
この上にプカプカと浮いているこの白い層ですね。免疫が一番入った白血球の部分なんですけど、この白血球の中にあるのが免疫を司る細胞、T細胞です。T細胞は免疫の司令塔。体内に侵入してきたウイルスや細菌を攻撃する一方、排除しすぎないよう抑える働きもあります。車のアクセルとブレーキのように、攻撃と守りのバランスが重要です。コロナ後遺症は免疫を司るT細胞に異常、つまり乱れが生じて引き起こされると上野教授は考えています。
幸なさんの血液を調べた結果、コロナウイルスに対するT細胞が他の人より少なく、十分に機能していないことが判明。免疫に乱れがあることが分かったのです。さらに免疫の状況から次のパターンに当てはまる可能性が高いと導きました。それが、コロナウイルスが体内に侵入。発熱や喉の痛みを引き起こしますが、そのウイルスは次第に消えて回復。ところが幸なさんの場合、コロナウイルスが侵入してきた時、元々体内に存在していた悪性の潜伏ウイルスを刺激し、活性化させ、今の症状を引き起こしていると推測します。
「多分その潜在化、潜伏感染しているウイルスがですね、あの体の中で増えて、免疫細胞が一生懸命それに対して、まあ、取り除こうと頑張ってる現象なのかなっていう印象を受けますね。あの、もう少し検査続けようと思ってるんですが、このウイルスが何なんだろうっていうところにかなり、まあ、特化した、あの、え、研究ができますので、あの、まあ、光が見えてくる感じですね。」
「であれば光は見えてくると思います。」
新型コロナ後遺症と戦う山田幸なさん。体が動かなくなって2年半になりますが、自分が回復する姿を思い描き、前を見続けています。
「同じようにコロナ後遺症で辛く苦しんでいる方と一緒に乗り越えよう、伝えたい、光になりたい。」
幸なさんは20歳になります。小学校の時の1/2成人式の時も感動したけど、また本当の成人式の姿っていうのは、その時から楽しみにしてたんで、その姿はやっぱ親としては見たい。
幸なさんはこの日、母と双子の弟と一緒に久しぶりのお出かけ。ある場所に向かいました。下沢町にある写真スタジオです。母のえみ子さんが車椅子でも着付けを行ってくれる店を探し、20歳の晴れ姿を選びます。
幸なさんの着物が並ぶ店内。迷ってしまいますが。
「うん。この中だったらピンク。」「この中だったらピンク。」「ピンク。」「真ん中の。」「うーん、可愛い。」「ピンク決めた。」
幸なさんはこの日、かっこいい感じの黒と可愛いピンクの晴れ着を候補に選びました。
「じゃないとちょっとせっかくだから。」「あ、ゆきな。」「ゆきな、見えた。」「見える。」「迷惑、迷惑見えた。」「楽しみにね、してワクワクしてたと思うから。」「うん。なんかまたひなちごさんとも違うし。」「うん。」「どういう風に分けてくれるのかちょっと期待したいかな。」
幸なさんは今、顎の操作で入力できる特殊な機器を使ってパソコンの資格を取りたいと日々励んでいます。来年の20歳のつどいにはどのような形で参加できるかまだ分かりませんが、動けるようになったらやりたいことがたくさんあります。
「温泉に入りたいのと、うん。」「友達や家族と旅行にも行きたいの。」「推しのライブとかに行きたい。」
本来ならば青春まっただ中の19歳。早く動けるようになってこの時間を戻したいと幸なさんは願っています。