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はあ、私って人間としてどこか決定的な血管があるのかもしれないわ。
お、どうしたんだ霊夢?スマホを握りしめて深いため息きなんてついて。
昨日金曜の夜にね、友達と居酒屋で飲んでたのよ。宴会も盛り上がってきた頃に「霊夢の今の推は誰?」って無邪気に聞かれて。
ああ、最近は挨拶みたいに「推は誰?」って聞かれる風潮があるよな。
私、うん。特にないかなって正直に答えたの。
そうしたら数秒間完全に知らけちゃったのを肌で感じたのよ。あの空気たまれなかったわ。周りがみんな推し活をしてる中だと、一人だけ温度差ができちまうんだな。
え、「人生半分損してるよ」とか「誰か一人くらいイケメン俳優とかいるでしょ」て、その場をしのごうために適当な流行りの俳優の名前を出してごまかしたわ。
無理して話を合わせたんだな。それは気づかれしただろう。
でもね、帰りの電車の中で夜の窓ガラスに映る自分の疲れた顔を見てたら、「みんなと同じように普通の熱狂を共有できない私は社会不適合者なんじゃないか」ってすごく落ち込んだの。周りが当たり前にできていることができないと、自分だけが異常に思えてくるよな。
それだけじゃないの?月曜の朝の化粧室でも同僚たちがアイドルのドームツアーの話で大熱狂してて、私は「へえ、すごいね。楽しそうだね」って表面的な愛想笑いを浮かべて相槌を打ってたの。でも心の中では「なんでたかが画面の向こうの他人にあんなに無邪気に熱狂できるんだろう」って覚めてて、相手は自分を認識すらしていないのになって思っちまうんだな。
そう。私には人間的な共感性や情熱が決定的に欠落してるんじゃないかって焦るのよ。
休日の夜にベッドでSNSを眺めてる時もそう。推しのいる生活ってハッシュタグが流れてきて、まるで祭壇みたいにグッズを飾ったり、全国を遠征して人生を捧げてる友達の写真を見るの。そういうのを見ると、何かに夢中になれるエネルギーが羨ましくなるよな。
うん。私には時間もお金もあるのに、何を見ても「ただのビジネス」だって冷めた視点が入るの。作られた虚像に過ぎないって思っちゃって、心の底から楽しむことができない。私の心はもうとっくに死んでしまっているんじゃないかって。
そうか。周りに合わせられなくて、ずっと一人で深い孤独感と虚無感を抱えてたんだな。
なんか泣きそう。ずっとそう思ってたの、私。
霊夢、辛かったよな。でもな、実はそれお前がダメだからじゃないんだぜ。
え?自分は感情が欠落しているんじゃないかっていう自己否定を根底から覆す科学的データがあるんだ。
もしかして、私が悪いんじゃないってこと?
ああ、世間にはまれない脳の正体について科学の視点から解き明かしていくぜ。お前が熱狂できないのは、脳の高度な認知機能が原因なんだ。
高度な認知機能、全然想像つかないわ。
まず世間の常識から崩していくぜ。今、推し活は精神衛生に良いって言われてるよな。
そうよね。推しがいれば人生が豊かになるってもSNSでも当たり前のように言われてるわ。
日本社会特有の「世間」っていう同調圧力の中じゃ、一人だけ冷静でいることは空気が読めないとされがちだ。うん。人生を楽しんでいないかわいそうな人間って暗黙のレッテルを押されてる気がするのよ。
でもな、社会学的な観点から見れば、この常識は極めて一面的な作られたムーブメントなんだ。
作られたムーブメント?どういうこと?
推し活の優勢はアテンションエコノミーというビジネスモデルに大きく依存しているんだぜ。人々の孤独感や承認欲求をターゲットにして、関心を集めることで利益を生み出す仕組みさ。
え、ちょっと待って。みんなの純粋な愛や応援じゃないの?
メディアの人物との一方的で仮想の人間関係をパラソーシャル関係と呼ぶんだが、SNSを通じて常に情報を更新し、この仮想的な親密さを煽ることで消費を誘導してるんだ。
は、じゃあ熱狂って仕組まれたものなの?
そうだ。まるで自分自身が特別な関係を築いているような錯覚に陥らせて、時間やお金を使わせるシステムなんだ。
いや、でも実際にみんな心の底から幸せそうに笑って楽しんでるじゃない。
もちろん楽しむこと自体は自由だ。でも推し活イコール必須の感情体験ではないってことだ。巨大な市場原理によって最適化された消費行動を、人間の普遍的な喜びであるかのように錯覚させられてるんだ。
じゃあ私がそのフォーマットに適用できないのはおかしいことじゃないの?
全く。この商業的なフォーマットに適応しない特性をおかしいと責める根拠は一切存在しないんだぜ。むしろ社会的な消費のシステムから精神的に独立している状態だと評価できるんだ。
私がシステムから独立してる。なんだか少し見方が変わってきたわ。
ここからがメインだ。霊夢が推しに対して感情を爆発させられない時、脳内で何が起きているか話すぜ。
うん。教えて。私の心は死んでるわけじゃないのよね。
ああ。2021年に学術誌のBMC Psychologyで発表された研究がある。1763人の成人を対象にした大規模な認知機能の研究なんだぜ。
すごく本格的な研究ね。それで何が分かったの?
有名人への熱狂度や推し活への没入度が高い人ほど、認知能力のスコアが低い傾向にあったんだ。
え、それってどういうこと?
言語で測る結晶性知能や、記憶・空間認識テストのような流動性知能のスコアが低かったんだぜ。じゃあ推しに脅迫的に没入してる人ほど、知能テストの結果が悪かったってこと?
その通りだ。しかも年齢や学歴、収入といった外部の社会経済的要因を統計的に排除してもだ。この逆相関の傾向は一貫して維持されることが確認されているんだぜ。
嘘でしょ?じゃあ私が熱狂できないのは…
霊夢の脳の認知機能のベースラインが高く、特定の対象に盲目的に没入しにくい状態にあるからなんだ。
あ、分かる。だから何を見ても「ただのビジネス」だって思っちゃうのね。
そうだ。心が死んでるから熱狂できないんじゃない。無意識のうちに極めて高度な情報処理が行われているんだ。
でもそれって具体的に私の脳の中でどんな処理が起きてるの?
推し活にはまらない人の脳内では、現実モニタリングという機能が強力に働いているんだ。
現実モニタリング、なんだか難しそうな言葉ね。
全前頭葉の内側にある前頭前野という部分が深く関わっている脳のフィルター機能のことだぜ。自分の内側で生み出された幻想や思い込みと、外部の世界から得られた真の情報を厳格に区別するんだ。
幻想と真の情報を区別する。それっておし活とどう関係するの?
さっきも言った通り、アイドルやキャラクターへの愛着は本質的には脳内で生成された仮想の親密さだろ。
確かに相手は私のことを知らないし、物理的なコミュニケーションもないもんね。
さっきの化粧室の場面を思い出してくれ。同僚がアイドルの話で盛り上がっていた時だ。
うん。みんなすごく楽しそうだったわ。私はただ愛想笑いしてるだけだったけど。
その時、霊夢の脳は即座に「この対象は自分を認識していない」と正確にラベリングした。そしてこれは双方向のコミュニケーションではないと判断して、情動系への過剰な信号を抑制したんだぜ。
パソコンで言う強力なセキュリティソフトが働いてるってことね。
まさにそれだ。脳の認知フィルターが正常かつ高精度で機能しているからこそ、仮想の対象に対して感情というエネルギーの浪費が防がれているんだぜ。
じゃあ一つ聞いていい?みんなはなんであんなに簡単に熱狂できるの?
推し活にすぐはまれる人たちの心の扉はいわば、街中にあるコンビニの自動ドアなんだ。
コンビニの自動ドア。
相手が実在の知人であれ、画面の中のアイドルであれ、魅力的な存在が近づいてきたというだけで開くんだ。片方向のセンサー反応だけで簡単に扉が開き、感情というエネルギーが外へ流れ出していくんだぜ。
ああ、なるほど。だから画面の向こうの相手でも平気なのね。
一方、霊夢の脳の扉は軍事施設並の総方向生体認証オートロックだ。
軍事施設並?私の脳そんなに厳重なの?
この扉を開いて感情を全開にするには、相手が自分を認識しているという条件が必要なんだ。物理的・社会的な相互のやり取りが存在するという双方向の暗号鍵のガッチが要求されるんだぜ。
それまさに私だ。相手からの反応がないとどうしても覚めちゃうの。
画面の向こうの芸能人がいくら魅力的でも、彼らは霊夢側の認証を持っていないからな。だからセキュリティシステムが認証失敗と見なし、感情の扉をロックしたままにするんだ。
システムの故障じゃなくて、高いセキュリティ要件を満たしてる証拠だったのね。
そういうことだ。だから霊夢は冷酷でも人間性が欠落しているわけでもないんだぜ。
それはそうかもしれないけど、でもやっぱりみんなと一緒に盛り上がれないのは寂しいわ。
その気持ちも分かるぜ。でもな、心理学における実行機能の高さもこれを補強しているんだ。自己制御やワーキングメモリを支える機能が高いため、自己と他者の境界を正確に維持できるんだぜ。
自己と他者の境界?集団の熱狂に巻き込まれないようにしてるってこと?
ああ、トップダウンの統制力が高いため、自己の境界線を曖昧にすることを自動的に拒絶してるんだ。進化心理学の観点から見ても、霊夢みたいな懐疑主義的で非同調的な個体は生存に不可欠だったんだ。
人類の生存に不可欠。私が…
古代の社会でもし部族全員が実態のない幻想に盲目的に同調して熱狂したらどうなると思う?
みんなで危険な方向に突っ走っちゃうかもしれないわね。
そうだ。だから集団の情動感染から一定の距離を置き、それは現実に即しているかを監視する存在が必要なんだ。集団の暴走を食い止める認知のアンカー、つまり重りとなる役割だな。
じゃあ私が飲み会で愛想笑いしてたのは劣ってるからじゃなかったの?
決して劣ってるからじゃない。現実原則を強固に維持する高性能な脳の防波堤なんだ。それは生物学的な静かな才能なんだぜ。
静かな才能。なんだか胸のつかえが少し取れた気がするわ。
さらにもう一つ、意外な工程材料があるんだぜ。この特性を持つ人はある能力が極めて高いんだ。
ある能力。それって何かしら?
消費者としての防御力とマーケティングを見抜く能力だ。
マーケティングを見抜く?さっきの「ただのビジネス」だって視点のこと?
その通りだ。さっきの論文でもマーケティング認知仮説というものが提供されているんだ。高い認知機能を持つ人は、アイドルの振る舞いの裏にあるマーケティング戦略や商業的な動機を見破るんだぜ。
ああ、分かるわ。「この売り出し方、あざといな」とかすぐ考えちゃうの。
推し活の市場は、消費者の感情的愛着を利用してコストを引き出すビジネスの最前線だからな。多くの人が過剰な消費に走る中、霊夢の脳は利益を最大化するシステムだと無意識に解読してるんだ。
だからグッズとかにお金を注ぎ込む気になれなかったのね。
つまり、推しに狂えないという気質は、巧妙な感情操作から自分を守り抜く力なんだ。自身の資産と精神を守るための究極の防弾チョッキを標準装備している状態だぜ。
究極の防弾チョッキ。私、無意識のうちに自分を守ってたのね。
ここまで推し活にはまれない理由を科学的なデータと考察から解き明かしてきたぜ。
うん。私が覚めてるのも盛り上がれないのも、全部脳の高度な機能のおかげだったのね。
周りが当たり前のように何かに熱狂している中、一人だけ覚めている自分をおかしいと責めてきたよな。孤独を感じる夜もあったかもしれない。でも結論として導き出される事実は明確だ。
お前のその気質は弱さや欠落なんかじゃない。虚像と現実を見極め、社会の熱狂に流されない才能なんだ。高度な現実モニタリング能力という素晴らしい才能なんだぜ。
ありがとう魔理沙。私、このままで良かったんだわ。
ああ。だからこれからは過剰な罪悪感を抱かずに、自分を大切にして生きていって欲しいんだ。日常で実践できるヒントを二つ教えるぜ。一つ目は、推しを「質の高いエンタメ」と翻訳することだ。
質の高いエンタメ、無理に愛着を持とうとしなくていいのね。
そうだ。身を滅ぼすほどの熱狂や疑似恋愛的な愛着を無理に抱こうとする必要は一切ない。自分の脳は現実モニタリング機能が高いから、評論家としての視点で楽しむのが一番合ってるんだ。ビジネス戦略や作品の構造そのものを冷静に楽しむ自分にOKを出してあげるんだぜ。
それなら私にも純粋に楽しめそうな気がするわ。
二つ目は、熱狂してる友人との会話では無理に同調せず、「分析役」というポジションを与えることだ。
分析役?居酒屋で「推は誰?」って聞かれた時とか。
ああ、無理に好きな芸能人をひねり出すんじゃなく、「あのグループのマーケティング戦略が面白い」って言うんだ。
なるほど。感情論じゃなくて知的な分析の感想を述べるのね。
そうすれば嘘の熱狂を演じる罪悪感から解放され、馬から浮くことなく自尊心も保てるぜ。
うん。次に聞かれたら絶対にそう答えてみるわ。
視聴者のみんなも、周りに合わせられなくて悩んだ経験があったら是非コメント欄で教えてくれよな。あなたのその冷めた目は素晴らしい才能の証拠よ。自信を持ってね。
それじゃあ、今回の解説はここまでだ。この動画が役に立ったらチャンネル登録よろしくな。高評価も待ってるわ。ご視聴ありがとうございました。
ありがとうございました。だぜ。