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【業界研究】第1話 半導体産業の全体 ~デバイスメーカー、装置メーカー、素材メーカーの立ち位置~

浅口みなび | バーチャル投資家【株式・半導体】10:53

Transcription

今回は半導体産業そのものについて説明していきたいとおもいます。今までこのチャンネルでは個別銘柄を説明することが多かったのですが、そもそも半導体っていったいなんなの?という風な質問が多かったことから、市況から半導体を説明するにあたって、まずは半導体産業全体のあり方を説明するのが良いのではないかと考え、作成しました。

今回は難しい内容はできるだけ省いて、半導体産業そのものにスポットを当てて説明していきたいとおもいます。まずは半導体とは何なのかというふうな質問についてですが、電気を通すものを導体、電気を通さないものを不導体と呼び、その中間の電気を通したり通さなかったりする物体のことを、半導体という風に見ます。私たちがよく目にしている半導体は、主にアナログ半導体とデジタル半導体の2種類があります。

簡単にこの2つの違いを分けるのなら、アナログ半導体とは電気や電流そのものを制御するものです。LED(発光ダイオード)や太陽電池、トランジスタなどが含まれます。これらは電気そのものを制御するものです。デジタル半導体というのは、その電気的側面を生かして情報を制御する半導体のことをいいます。CPU、メモリ、LSIなどが該当します。デジタル半導体は見た目がほとんど同じなので、画像はこれ一つだけです。

今回は当チャンネルがメインで扱っており、市場規模も巨大なデジタル半導体に注目してご説明していきます。世界には様々な半導体企業がありますが、これらはどのような役割を果たしているのでしょうか。まず左上、これらはファブレスメーカーと呼ばれる企業です。ファブレスメーカーは半導体の設計のみを行っている会社で、製造そのものは実施していない企業です。代表的な企業ではAMD(Advanced Micro Devices)、Intel、NVIDIAなどがあります。

ファブレスメーカーは設計した半導体を、ファウンドリメーカーと呼ばれる会社へ製造を委託しています。それが左下の企業等です。これらの企業がファブレスメーカーから設計図をもらって製造しています。代表的な企業はTSMC(台湾セミコンダクターマニュファクチャリング)やグローバルファウンドリーズといった会社になります。もちろん、設計や製造を一緒に行う企業もあります。それらは右側の企業にあたります。Intelやサムスン電子、ルネサスといった会社があります。ルネサスは水害を聞いたことがあるんじゃないでしょうか。これらの企業は半導体そのものを製造する会社という風な意味で、半導体デバイスメーカーと呼びます。

半導体を製造するには専用の装置が必要です。半導体を製造する装置を作っている会社を、半導体装置メーカーというふうに呼びます。代表的な日本企業でいえば東京エレクトロン、ディスコ、SCREENホールディングス、マイナーなところで言えば荏原製作所などがあります。海外ではApplied Materials、ASML、Lam Researchなどがあり、デバイスメーカーよりも幅広いバリエーションがありますね。

もちろん装置だけでは半導体は作れません。半導体を製造するには材料が必要です。これらの材料を製造している会社を半導体素材メーカーというふうに呼びます。レジスト製造ではJSR、TOK(これは東京応化工業の略ですね)、信越化学工業。この3社で70%近いシェアを握っています。薬液主体では、住友化学やステラケミファといった会社があります。この周辺が日本企業で最も強いエリアですね。

それでは半導体業界の特徴について解説していこうと思います。半導体業界の特徴その1、世代交代が早いことです。半導体ではムーアの法則と呼ばれる、1.5年で容量が2倍になるという進化に対する経験論があります。今回は半導体がたくさんつまっているスマートフォン、iPhoneで説明していきます。一番最初に発売されたiPhone 3Gの発売日は約12年前です。ムーアの法則に従うと12年では8倍に進化するはずです。実際2019年に発売された最新版のiPhone 11 Proと比較すると、RAMは32倍、ストレージも32バイトで8倍以上、端末が進化していることが分かります。8倍以上になっていないのは価格だけなんですね。

このようにデジタル半導体では、倍々ゲームで扱える情報量が増えていきます。iPhoneの例に則れば32倍というのはたいしたことないように感じますが、現代のデジタル半導体は元々の容量が大きくて、100倍、多くのものが3200倍以上に増加しています。しかし写真や動画の容量というのは、画質や滑らかさがアップする程度で、多少は容量は増加するんですけれども、この倍々ゲームを圧倒するほどのものではありません。このように半導体は10年前後で急速に進化するので、半導体製造ノウハウにおいて10年前の装置というのは古い装置として扱われて、お役御免となるケースが結構あります。そして新しく購入した装置は、より少ない素材で大量に進化した製品を作ることができるので、進化とコスト削減のためにデバイスメーカーはより大規模な設備投資を行います。

デバイスメーカーが行う大規模な設備投資により、半導体の装置メーカーと素材メーカーというのは以下のような関係になりやすいです。1、装置メーカーは世代交代ごとに大規模な設備投資が行われるため、大きな売り上げが期待できる。2、非常に儲かるため、後発で新規で参入してくるメーカーもいる。次に素材メーカーの傾向ですが、1、世代交代しても使用する薬液は変わらないので、レジストなどの特殊な素材を除いて大きな利益は上げにくいということ。2、デバイスメーカーたちは危険で、高額で処分が面倒な薬品は使いたがりません。装置メーカーもその節約をウリにすることもあり、あまり大量に買おうとしないこと。3、薬品そのものの製造についても大規模な化学工場が必要で、後発メーカーが少ないといった特徴があります。

半導体産業はもともと日本のお家芸だったのですが、徐々に海外にシェアを奪われていきました。しかし未だに素材メーカーについて日本が強い理由は、過去日本が半導体製造にあたって使用されていたものを自前で用意していたからなんですね。利益率が低く、大量に売れず、製造にも重い設備投資が必要。そして進化が遅いとはいえ、30年から40年単位での技術的土台がある日系企業等が幅をきかせている半導体素材業界というのは、海外メーカーにとっては旨味がない事業エリアなんです。だからこそ参入できず、最終的に日本がずっと覇権を握り続けているという風な構図になっています。もちろん日本が化学素材に強いという風な側面もあるんですけどね。

今までの話を踏まえた上で、半導体デバイスメーカーは常に高い固定費を背負っているが、変動費は安いという風な状況下に置かれていることが分かります。とにかく装置に空きを作らずに大量に生産し続けて、早く固定費を回収しないと、半導体デバイスメーカーっていうのは経営体力的にもたない、そういうことが発生するわけです。ね。そうするとですね、市場の需要を無視して大量生産に突っ走っていくため、価格が暴落するという風な流れが生まれます。また、半導体の市場需要も安定していないというのも業界の特徴です。2010年代初頭はスマートフォン、近年ではクラウド化・リモートワークによる急激な需要の上昇がありました。これらの需要の急上昇は半導体デバイスメーカーの供給量を上回り、価格を急騰させます。デジタルの分野では革新的な考え方が生まれ、そのたびに需要は拡大し落ち着くという、需要そのものも不安定な業界であるのです。

上記の流れから半導体は短いサイクルで好況と不況を繰り返します。これを業界ではシリコンサイクルと呼びます。また、時代が進むことに技術的なハードルも上昇し、企業そのものも淘汰され、生き残った企業だけが利益を総取りする、そのような世界なのです。

まとめです。半導体業界とは勝ったら大儲け、負けたら大損。ドラマチックでギャンブル性の高い業界。はい、そんな感じです。今回は大量の企業を紹介したので、概要欄に企業シンボルリストを載せようと思います。ぜひ投資の参考にされてください。今後とも半導体企業の技術の紹介や業績を研究したりしていきますので、チャンネル登録、高評価宜しくお願い致します。