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長所を伸ばすのと、短所を潰すのはどちらがいいのでしょうか

為末大学 Tamesue Academy10:20

Transcription

はい、民生大学の質問コーナーです。

え、質問です。長所を伸ばすのであれば、今できることを突き詰めていって、行き詰まったら決定を直せばいいんでしょうか。見たり聞いたりしていると、決定を直すこと、先にやっている気がします。

はい、これ長所短所論ですね。で、長所を伸ばせばいいのか、短所を直せばいいのか。これ非常に大きい、よくある質問なんですけれども、これそんなに簡単じゃないんですね。例えば、私、あの陸上競技もしやられてるのであれば、ま、短所別にいいんじゃないですか、という風に申し上げますし、え、こと社会においては、ま、ほとんど短所なんて無視していいんじゃないですか、という風に申し上げると思います。

ただ、もし格闘技をされてたりするとですね、これ短所を相手が狙ってきて、そこを起点に崩される。そうなので、やってないんでわかんないですけど、ま、格闘技の方は絶対に短所を掘っておかない、という風に言いますね。あったとしても必ずそれを守る方法を考えるという意味で、ま、これ、あの軍隊なんかもそうですね。明確に分かりやすい短所があって、それを置いておいたら、そこから相手に攻められるの分かっているので、必ずや短所を見えないようにするってことをやりますから、ま、自分が今何をやっていて、短所がどのくらい致命的なのか、ってことに関して、もう少し考える必要があるのか、少し考える必要があるのかなと思います。

ま、基本的には対人のもの、1対1で向かうものとか、そういうものは短所を潰しておかないと、そこを元にひっくり返されることがあると。ただ、社会のほとんどの活動はですね、ま、非常にバーチャルですよね。1対1なんて可能性のあるのは、ま、各国間の関係ですら、よほど派遣国同士でない限りは1対1ないでしょうし、ま、派遣国ですら1対1のように見えていながら、その他無数の国とのバランスを取りながらやってるわけで、ま、ものすごい世界から切り取った将棋や囲碁みたいな世界に行かない限りは、1対1なんてありえないわけです。

ま、そう考えてみると、実は私はあんまりその、なんでしょうね、この相手の目の前に相手に全集中、みたいなことは、ま、自然不自然なことだなっていう風に思ってます。で、ま、なので結論としては、そういうことになっちゃうんですよね。短所が致命的であれば直しましょう。致命的でないなら長所を伸ばしましょう、って話になるんですけど、ちょっと少し観点を変えてですね、一体「短所」って呼んでるものて何でかっていうことなんですね。ま、もうちょっと言葉、私用の言葉で言い換えていくと、短所の定義って何でしょうかっていうことになります。

で、本人に、私の考えでは、本人に紐づいた短所はないわけです。つまり、環境がなければ短所はなくなっていくということになります。で、どういうことかっていうと、例えばですね、え、ま、生物でいくとですね、ティラノサウルスとか、ま、ちょっと正確な名前わかんないですけど、ま、恐竜時代のですね、ティラノサウルスは確か肉食動物で非常に多かったとか、ま、まだあんま色々わかんないこともあるらしいですけど、ま、とにかくでかいと恐竜がいると。一方ですごいちっちゃい哺乳類の生き物がいたりして、これどっちが強いんですか?どっちが長所ですか?っていうと、体がでかいのが長所とかなんとか、こんなの負けちゃうってことになりますけど、一旦寒冷期に入ってしまうとですね、これ体温調節がうまくいかないとか、ま、必要な体がでかければ必要な体を維持するために必要なカロリーも多いわけです。ところがこれ、ちっちゃい個体であれば、ま、あの必要なカロリーも少ないとかですね、ま、生存に有利な自分の体温を保ってるとか色々あったりして、ま、結果としてこっちの方が生き残る可能性があるかもしれないわけです。

で、何が言いたいかっていうと、何を短所と決めてるかは、実は環境が決めてるんだってことなんですね。で、自分がどこにいるかが短所を決めていて、短所、私にはこういうものがあります、っていうのはないわけです。ね。ないとは言いですね。ま、当然ですけど、我々人間社会生きていますから、人間社会には大体、え、広く、え、必要とされるような、ま、コミュニケーション能力とか計算力とか色々あるので、ま、その点においては短所が一応あるんですけど、ま、それでも多様ですからね。ま、そう考えていくと、自分がこれが短所だと思うのは、それが短所化するような場所に身を置いていることでもあるというのがまず第一前提なんですね。

で、そう考えていくと、短所と長所ってのは実は結構表裏のことが多いということになります。ま、先ほどのティラノサウルスの例でいえば、え、個別の戦いにおいては長所かもしれないけど、その大きな体が仇となる。環境が変わればですね。で、こういうことはたくさんあります。え、ま、以前「努力は嘘をつくのかつかないのか」ってことでも話しましたけど、この辺りはま、簡単に言うと戦略論なんですね。自分の人生をどうやって戦略を立てていくかっていうことになりますから。

じゃあ、自分自身の戦略を立てる時に、起点として非常にいいのはですね、実は短所から始まるといいと私は思ってるんですね。なぜなら、短所は大体長所の裏返しであるということ。私の人生はですね、ま、長所は足が早い、だから足が早いを生かして陸上選手になる、みたいな、ま、そういうシンプルなのが表街道の説明なんですけど、裏街道の説明はですね、ま、簡単に言うと若干のADHDとそれから注意欠陥があったわけです。子供の時に非常に危ないことを勝手にやっちゃうし、それから先生が言ったこと覚えてられないし、と。ただし、その瞬間の質問には異常に柔軟性があって答えていけるみたいな、そういう子供だったわけです。

で、最初、ま、そのうちはまだ許されてて良かったんですけど、やっぱ大人になるとだんだんしんどいわけです。私は何かに、え、繰り返して淡々とやることはできなくて、常に刺激を求めて頭がこう動いてしまうものなんで、ま、これを抑えるのが非常に苦しいわけです。で、成功ってやっぱり1個のことに対して労力を突っ込むことで成功率上がりますから。で、私は奇跡的に陸上はできたんですけど、やっぱそれでもですね、練習方法あんまりにも変えすぎて、本当に100%あれが正しかったのかわかんないんですね。でも自分を制御できなかったから、まとにかく毎年新しいこと色々やってたという感じになります。実はそんなに相性良くなかったと思ってんですけど、私の性格的なものと陸上競技っての。ただ良かった点は、ま、陸上って他にピボットすごいしにくいので、も1回これだって決めたら、それに自分が縛りつけられたんで、ま、その中での、あのいろんなことをやるっていう発想を散らすっていう点では良かったんじゃないかと思います。

で、社会に出て今度自分が解放されるわけですけど、そうすると、ま、思いっきり最初はバンと開かした感じはするんですけど、逆に自分を縛るものが何もなくなったんで、本当に色々なものに自分の能力を散らして意識をですね、ま、結果として何年経っても何も積み上がってこないっていうことが起きるわけです。で、これが私のなんか長所で、それを一見長所に見えるんですね。「たせさんは本当に発想が豊かでとか、いろんなことにご存知で」っていうんですけども、これ言い換えると「器用貧乏」ですよね、あなたていう。何の専門もないじゃないですか、っていうことなんです。で、これはま、表裏なんですね。だから発想の豊かさと何か1つのことに意識を集約できないこととか、ま、それはま、結構表裏になってると。

私のような性格の人間が自分の短所を生かすっていうのは、やっぱり何かを自分で意図的に縛りつけるっていうことで、それから発想の豊かさこそが価値を生む場所でずっとい続け るっていうことで、これが私が何か、それが必要とされないような、ひたすらにルーティンを繰り返すような産業に行くと、この短所が思いっきり出て、「あいつは何も言われたことできない、覚えてられない」ということになって、ま、大変低い評価を受けてしまうわけです。

で、話は戻りまして、え、短所の問題。ま、これフィジカル的な短所もあるでしょうし、いろんなものあると思うんですけど、短所が短所単独で存在することはまずないというのを前提に立ってほしいなと思うんです。それがと言われるような環境であるということ。ともう1つ、自分の身体だったとしても、その短所が必要とされる別の要素も結構自分にあったりして、ま、このバランスで決まってるんだってことをよくよく、あの理解されていくのがいいんじゃないかなと思います。

で、その上で、え、自分で判断をしていくと。で、あの一般論にこれからお話しますけども、一般的にはですね、これ日本語で書かれてるんで日本人の方だと思うんでですけど、日本人ほど短所を気にする人たちはないという風に私は今のところ思っています。短所を潰しすぎるほど潰していって、ほとんど短所がない、え、集団が出来上がっていると。だま、完璧っていうか、まん丸に近いんですね。外から見るとまん丸の人たちがたくさんいると。ところがなんかだけ1つだけ飛び抜けてやってくださいって言うと、これが難しいようになっているというわけなんですね。

あ、是非、あの短所はほどほどにしながらですね、あの1番やっちゃいけないのは、短所だと思って潰してみたら長所も一緒に潰してたっていうところですね。短所と長所は表裏ですから。だ、自分が今から潰そうとしてる短所は本当に短所なのか、違う場所に行けば長所と言われるもんじゃないのか、また自分の見方さえ変えれば、え、それを生かしていろんなことはできるんじゃないか、ということを是非忘れないでね、やっていただきたいなと思います。世の中に、え、パーフェクトな人間はいませんし、パーフェクトな人間になるっていうことは、え、端的に言うとつまらない人間になるっていうことなので、この自分の歪みを活かすにはどうすればいいか、これが戦略だ、と個人における戦略だと思っていただければと思います。