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【米国株】TSMC決算:米アリゾナ工場へ1000億ドルの追加投資。収益悪化で目標株価引き下げへ【決算レポート】(今中 能夫)【楽天証券 トウシル】

トウシル [楽天証券]21:28

Transcription

え、いつも大変お世話になっております。楽天証券でチーフアナリストをしている今中と申します。今回は決算レポートといたしましてTSMCを取り上げます。

足元の業績は好調なんですけども、会社側の見立てによりますと、第3四半期業績の伸びが鈍化する見通しになっております。アメリカのアリゾナ工場へ約1000億ドルを追加投資する、これを決定いたしました。この辺りの詳細についてお話をしたいと思います。

え、まず業績であります決算ですね。え、2025年12月期第1四半期の決算が出ました。業績大変好調であります。1年前に比べまして売上高が41.6%増、営業利益が63.5%増という非常に高い伸びになりました。営業利益率も48.5%であります。え、本来ですと12月期と言いますのはですね、10、12月期に比べましてスマートフォンやパソコン向けが季節的に減少する傾向になりますんで、営業利益率が低くてもおかしくないんですが、今回はかなり高くなりました。これはAI反動体、これが非常に強いという風に思われます。またAI反動体以外の3nmにつきましても、採用する製品が多くなったようでありまして、こちらの企業も結構大きくなっているということです。

第2四半期につきましても業績順調に伸びるという風に見られるわけなんですが、ただですね、この営業利益率の減速、会社予想では47%から49%、このレンジ平均値が48%ということになります。で、第1期は48.5%なわけなんですけども、なぜ若干下がるかと言いますと、アリゾナ工場中心にですね、TSMCの海外工場、アリゾナ、熊本、それからヨーロッパでも今建設中ですが、こういった海外工場が完成して稼働開始するに従って減価償却負担が出てまいります。償却をスタートするということでありまして、これが売上総利益率を圧迫するという形になってるということです。で、ちなみに第1期はですね、1月に台湾で地震がありました。それによって被害が出ておりますが、これが生産性向上である程度補うことができたということです。ま、にしてもですね、やはり、収益力は非常に高いと考えといていいだろうと思いますが、これはAI反動体によるものが、繰り返しますけども、AI反動体によるものが、かなり大きいという風に考えていただきたいと思います。

分野別の売上高の前期比なんですが、季節的にですね、スマートフォンはこの1、2、3ヶ月は減少します。で、ハイパフォーマンスコンピューティング、このハイパフォーマンスコンピューティングの中にパソコンサーバー向け、AIサーバー向け、それからゲーム機向けが入っております。で、ここが第1期としては比較的高い伸びになったということでありまして、その結果ですね、この分野別売上高を見ますと、スマートフォンが1桁減少したんですが、ハイパフォーマンスコンピューティング、HPCについては引き続き伸びるという形になったわけであります。で、おそらくですね、今TSMCの最大顧客がすでにNVIDIAになってるんじゃないかなと思います。第1期になったか、第2期になるかどっちかだと思いますけども、Appleを抜いてNVIDIAが最大顧客になったんだろうという風に思われるわけであります。

テクノロジー別に見ますと、5nmの採用はやはりiPhoneが多いわけでありまして、スマートフォンが多いんで、第1期は前年の第4四半期に比べて一旦減少しております。ところが5nmの中に4nmが入っておりまして、この4nmでNVIDIAのAI反動体ですね、H100、H800、それから中国向け専用のH20、これをやってるわけなんですが、こちらは若干増えるという形になっております。それから7nmのも若干増えるという形になってるわけであります。これがですね、会社側が開示してる売上構成比と全社売上高から私が計算してみたものなんですが、3nmのは10%からですね、1、2、3ヶ月こういう風に減少しております。5nmのは若干増加、7nmも若干増加です。7nmについてはですね、おそらく市販チップ、この中にAMDのAI反動体も入ってるんですが、おそらく16nmあるいは20nmから移行してくるチップもあるだろうと思います。で、前年比を取ってみますと、3nmのは大幅減で、5nmのは、50%程度、40%から50%程度の伸びになってるということです。あと一桁nmを除いた売上高も健闘に推移してるということです。

ウェハー売上高を見ますと、12月期はやはり季節性で減少はしているんですが、1枚当たり売上高を見ますと健闘上がっております。これは単価が高いAI反動体のが出てきたんだろうという風に思われます。設備投資なんですが、第1四半期は前期の第4四半期から若干減少いたしました。で、通期の設備投資計画は今回変更ありません。その内訳についても変更はありません。ウェハプロセス、それから先端パッケージングに対する特殊技術に対する投資、この内訳に対してもほぼ変更がありません。ただですね、このアリゾナ工場へのほんのちょっとなんですが、初期の投資が、この380億から420億ドルの中に、これはUSドルですね、中に含まれてるという風になります。

AI反動体については四半期ごとですね、会社売上構成比がどの程度なのか言っておりません。粗雑な形で、売上高を推定しております。ま、前期の場合、2024年12月期の場合、大体10%前半だろうというような話をしておりましたんで、そこから大雑把に推定してみたわけですが、今期のAI反動体の売上高ですね、これは前年比で倍になるという話であります。これは3ヶ月前の前年の第4四半期の決算説明会時の話とも変わっておりません。で、私は2倍以上になるんじゃないかなと思ってましたけども、ちょっとですね、最近、NVIDIAとかTSMCの設備投資に対する読み方、私自身ちょっと弱気になっておりますんで、会社予想の2倍という風に今回修正しました。で、一方で私が思ってる以上にですね、少なくとも今期は3nmと5nm、AI反動体以外の3nm、5nmが結構順調に進んでいるようでもありますので、ここについては若干上方修正をしました。そうなりますとTSMCの全社売上高につきましてはですね、今期については上方修正にはなりますが、かなり高水準の売上高になるということです。はい。で、2nmについてはAI反動体以外の売上についてはこれが2nmの製品が出てまいりますんで、どうしてもですね、3nm、5nmよりも2nmについては単価が高いです。で、おそらく来年の9月ないし10月に発売される新型のiPhoneに2nmのチップセットが搭載されることになるだろうと思いますんで、その辺りの売上高の伸びを見込んだわけであります。この予想については3ヶ月前と変更ありません。

一方でAI反動体については、これは、先ほど申しましたけども、AI向けの設備投資、生成AI向け設備投資、それからNVIDIAの業績に対しては私は必ずしも強気ではありません。特に今後についてはっきり強気ではありませんので、伸びを上方修正したわけであります。ま、その結果、この売上高の水準そのものは高水準ですが、前回の予想に比べますと、上方修正ということになったわけであります。TSMCの業績を見てみますと、こういう風にですね、今期第1四半期、第2四半期の業績が非常に高水準であるということです。で、利益水準が高いということですけども、実はここでですね、ちょっと考えとかないといけないことがありまして、第1期の実績と第2期の予想なんですが、ま、合わせますと大体40%前後の売上高の伸びということになるわけなんですが、TSMCが今言ってる通期の売上高の伸び、これがUSドルベースで20%台半ばという見方をしております。これは3ヶ月前の会社側の見方と変わりありません。こっからですね、伸びを測ってみますと、台湾ドルベースでも大体25%増ということになってしまうわけでありまして。そういたしますと、第3四半期、第4四半期の業績の伸びがどうなるかということになってしまうわけでありまして、では何かと言うと、1つには、ブラックエルの量産が四半期ベースで第1四半期、第2四半期と相当増えるのが第3四半期、第4四半期でなくなるということ。それから年末商戦に向けてスマートフォンやパソコンが、悲観も期待できる状況にはないということです。あと、やはり最近の地政学的影響でアメリカ国内もヨーロッパも、世界的に不景気が出てくるんじゃないかということです。ま、第1期の業績非常に高く、第2期も業績好調ということですんで、それはそれであるんですけども、第3四半期、第4四半期についてはこの会社見通しが変わっていないということ。要するにドルベースで20%台半ばの増収率であるというこの会社の計画が変わっていないということを考えますと、第3四半期、第4四半期についてはちょっと警戒しといた方がいいのかなという風に考えるわけであります。

で、来期についてはこのAI反動体の伸びが私はさすがにどう化するんではないかなという風に考えております。そしてもう1つ問題なのが、アリゾナ工場等の海外工場の拡張がどんどん進んでいきますと、これが今後5年間売上総利益率を低下させる要因になってしまうということです。ということになりますとですね、この今期の楽天証券予想では営業利益率47.7%ということになりますが、今回の予想では1%ポイント以上、これが低下するという風に予想しました。そうなりますと通期の増益率が16.2%増ということになるわけでありまして、見た目ROEは確かに割安感はあるんですが、だからと言ってこの会社が本当に割安かと言うとどうもそうではないんじゃないかなという風に考えているわけであります。

ここからはですね、今回発表になったアメリカのアリゾナ工場に対する約1000億USドルの追加投資。これについてですね、今回の決算電話会議でかなり詳細な話が出ましたんで、これについてお話をいたします。まずですね、この今期、2025年12月期についてはアリゾナ工場の第1工場が稼働開始になります。これは前期の第4四半期に稼働開始になった第1工場であります。で、この減価償却がスタートしたことによりまして、売上総利益率低下への影響が出始めております。その結果ですね、第2期の売上総利益率ガイダンス、これがレンジ平均値で58%となっております。第1期は58.8%なんで、いろんなコストを見込んでもやはり第2期は低下するということに なるわけであります。本来ですと、第1期と第2期に比べますと、1期よりも普通は2期の方が売上が大きいわけですから、売上総利益率もやや上昇するということに なるんですが、今回はこのアリゾナ工場の稼働開始によりまして売上総利益率の下落ということになるということです。この影響はですね、実は今後も続く見通しでありまして、熊本工場がすでに稼働しております。それからアリゾナはもうこれから第1工場だけでなく第2工場以降をやるということになりますんで、2025年12月期続きでは会社側は2%から3%ポイントの売上総利益率低下要因を見込んでいるということになります。この2%から3%ポイントの売上総利益率低下要因というのは結構この会社にとっては正直言って大きいです。コストを考えてもですね、全社の売上総利益率が今期は低下する、営業利益率も低下するという風に考えておいた方がいいだろうと思います。

3月4日ですが、TSMCはアメリカ企業の反動体生産を現地生産するため、アリゾナ工場への約1000億ドルの追加投資計画を公表しました。問題はですね、この計画を含め今後5年間の海外工場の増設、アリゾナ、熊本、ヨーロッパの各所にあります。これの売上総利益率の低下が会社の見積もりですけども、初期段階で-2%、3%、後期段階で同じく3%、4%に拡大するという風に会社は予想してるわけであります。結構大きな売上総利益率の低下になるわけでありまして、そのためですね、今後はコスト削減が一層重要になってくるわけであります。で、会社側は長期的に53%以上の売上総利益率を達成できるという風にはしてるんですが、この今期の第1半期ですね、この売上総利益率が58.8%でしたんで、これよりは低いということになってしまうわけであります。で、元々ですね、このアリゾナ工場というのは2020年5月に発表されたわけでありまして、投資額は650億USドルです。で、合わせて3つの反動体工場を建設計画でありました。で、前期の第4四半期ですね、2024年12月の第4四半期、第1工場で4nmの量産を開始しました。で、第2工場、これは3nmです。これも完成しておりまして、AI関連を早期に量産したいという意向を会社は持っております。で、第3工場なんですが、最初の計画では3nm、それ以降の先端プロセスやる予定だったんですが、この第3工場を、新たに1000億ドルの追加投資計画に含まれる第4工場、ここで2nmの、それからA16ですね。これは1.6nmの次であります。この最先端のプロセス技術を採用すると。そしてこの第3工場と第4工場は今年後半に着工する予定ということになっています。で、第5工場、第6工場もあるんですけども、さらに高度な技術を採用する方針でありまして、これらの工場の建設動産は今後需要を見ながら決定されるということになるわけであります。

それからですね、ここもちょっと重要な点なんですが、このAIサプライチェーン参入するためにアリゾナ州に2つの新しい先進パッケージング施設とR&Dセンターを建設する予定です。で、このAIサプライチェーンっていうのはですね、従来HBMのパッケージングについてはHBMメーカーがやってきたわけなんですけども、これをですね、TSMCでも包括的にやりたいとおそらくそういうことになるだろうと思います。要するにHBMとAI反動体、AI GPU本体のパッケージングを全部自分でやりたいということなんだろうと思いますけども、このアリゾナ州に2つの新しい先進パッケージング施設を作って、そしてR&Dセンターも建設する予定だということです。ま、これによってですね、結局のところアメリカにNVIDIAとAppleという2つの巨大なTSMCユーザーがいるわけですんで、こういった企業のスマートフォン、AI、HPCの顧客ですね、これに対応できるようにしたいということです。

それともう1つですね、この追加投資計画について会社が言うには、他者との合弁事業における技術共有、技術移転共有に対する協議は一切行っていないとこういう風に明言しております。これはおそらくIntelも念頭に置いてるんだろうと思いますが、要するに少なくとも現時点ではIntelと合弁することは多分ないんだろうということです。今後のことは分かりませんが、現時点では多分ないだろうという風に思われるわけであります。それからこの追加投資が完了した後は、TSMCの2nm以上の先端反動体生産能力の約30%がアメリカのアリゾナに集約されるということになります。ただですね、アメリカの生産というのは台湾に比べればやはりコスト増加するということになりますんで、会社側では顧客に対して値上げの上限に入ってる模様であります。いくらになるか分かりませんが、おそらくそう低い値上げ幅ではないんじゃないかなという風に思います。ま、そういう風になりますと、今でさえですね、iPhoneもNVIDIAのAI反動体も値段が高いわけでありまして、それ以上高くなってくると需要は本当に大丈夫なのかという問題ですね、これはもう一方で出てくるんじゃないかと思います。

それから台湾での最先端分野量産開始なんですが、2nmについては従来言ってるように2025年後半で、その次にA16、1.6nmのがありますが、これが2026年後半になる予定です。で、このA16については初めてバックサイドパワーデリバリーと言いまして、チップ表面に計算回路を書いて、裏面に電力供給システムを書くという形で計算速度と電力消費を効率化するやり方があります。これを採用するということになります。それからAI反動体、今は特にAI反動体なんですが、先端パッケージング技術であるコアレスですね。これTSMC独自であります。これについてですね、2025年12月期に生産能力を2倍する計画であります。ここについてはですね、ディスコにおそらく関わってくるだろうと思います。どういうことかというと、コアレスというのはこのHBM、それからAI反動体本体ですね、全体について非常にコンパクトにパッケージングする技術なんですが、第3グラインダーですね、要するに切り削の工程が従来よりも増えるという風に言われておりますんで、直接ここでどこが恩恵を受けるかというとディスコになるだろうと思うんですが、ただ実際のところですね、足元はAI反動体の動き非常に好調だと思われるんですが、今年後半あるいは来年もその伸びが維持できるかどうかってちょっと見てみないと分からないということになるかなと思いますんで、この辺りは今後の動向を観察したいと考えております。はい。

え、ということでまとめますとですね、足元の業績は好調なんですが、会社が言ってることを考えてみますと、要するに2025年12月通期のUSドルベースの売上高の伸び、これが20%台半ばとしておりますんで、第3四半期以降は業績減速がどうなるかという通しであるということです。それからちょっと長期で見てもですね、アメリカの工場に対する追加投資計画ですね、それから他の海外工場も合わせて考えますと、今後数年間売上総利益率の低下要因が無視できない範囲で発生してしまうということです。ま、アリゾナにはかなり高水準の2nm、それから1.6nmも生産するというそういう計画になるわけであります。ということでですね、目標株価なんですが、前回ちょっと引き下げて間もなくて申し訳ないんですが、前回200ドルでありました。これを170ドルに引き下げたいと思います。やはり工場稼働によっていきなり工場が立つということは反動体工場の場合無理なんで、5年という長い時間をかけるわけですが、その過程で無視できない程度の売上総利益率の低下が発生してしまうということです。ま、もちろん減価償却やあるいは他の売上高の伸びで吸収するということはおそらくできるだろうとは思うんですが、ちょっとそこはですね、様子を見る必要があるのかなと思います。そういう意味で言うと、投資リスクに見合ったリターンを期待することは難しいんじゃないかというのが私の意見でございます。

今回はTSMCの決算についてお話をいたしました。この動画ご評価いただけるようでしたらいいね、それから登録をお願いできると幸いです。ご清聴ありがとうございました。