📱

Get Our Mobile App

Take your business learning on the go!

Download on the App StoreGet it on Google Play

「ゲームは人類を滅ぼす」富野由悠季がゲーム嫌いなわけ

セリフと演出から読み解く機動戦士ガンダム解説14:51

Transcription

めたん 「ゲームは悪!」 富野監督がゲームを嫌う理由

めたん 富野監督といえば、ゲーム嫌いというイメージがあるわ。

ずんだ そう?

めたん 例えばこれは、とあるゲームイベントに呼ばれたときの講演会での一言。

N 「僕にとってのゲームは“悪”です」

N 「地球を滅ぼしかねない」

ずんだ すげえな。

めたん これゲームのイベントだからね。 ラーメン屋に来て「ラーメンは悪」、 「人殺しの食い物」って言ってるようなもんよ。

ずんだ そんな富野が俺たちは好きなんだけどな。

めたん また、「最近のガンダム作品はなっとらん」的な文脈で、 こういう言い方もよくしているわ。

N 「作る側が少しでも戦争を体験していないと、戦争が何なのかをつかみ切れずに、戦闘シーンをゲームとして描くことしか考えられない」

N 「飛んでくる弾丸やミサイルをかわすといった、シューティングゲームや アクション映画のような作品になっている」

ずんだ こういうのもよく聞くね。

めたん だから富野さんイコールゲーム嫌いって思ってる人、 結構多いと思うんだけど……。真逆かもしれない!

ずんだ 真逆?

めたん むしろ、大好きかも!

ずんだ 富野由悠季、ゲーマー説なのだ。

めたん 1つずつ見ていきましょう。

N ポイント1.富野由悠季とパズルボブル

めたん 富野さんとゲームという話になったとき、 富野ファンの間で一番有名なのは、やっぱり『パズルボブル』のエピソードよね。

ずんだ 知らないです。

めたん 『パズルボブル』は、元はアーケードで発売されたパズルゲーム。 メーカーはタイトー。 後にスーパーファミコン他、いろんなハードに移植されたわ。

ずんだ あっ。ゲーセンで見たことあるぞ。

めたん 富野監督がハマってたのはスーファミ版。 こんなゲームだったわ。

ずんだ かわいいのう。

ずんだ 富野さん、これやってたんだ。

めたん ジェムの色がそろうと消える。 典型的なパズルゲームね。

ずんだ 消えた。

めたん 見ての通り、対戦モードもあるわ。

ずんだ こんなかわいいゲームやってたなんて、ほっこりするのだ。

めたん なんと富野さんは、4年間もずーっと、 このゲームばかりやっていたと言っているのよ。

ずんだ 4年はだいぶ長いのだ。

めたん エッセイ集『∀の癒し』に書いてあるのよね。 実際の記述を見てみましょう。

N いまだにスーパーファミコンの『パズルボブル』をやっている。ほかのゲームができないからこの4年ほどこれだけだ。一度だけ『IQ』を半月ほどやったが、広がりがないからやめてしまったが、本当の理由はさだかでない。

めたん 『IQ』は、プレイステーションで発売されたパズルアクション。 立体状のキューブを転がして、揃えて消すゲームよ。 当時結構話題になったから、覚えている人も多いんじゃないかしら?

ずんだ でもこれは、すぐやめちゃったんだね。 そんで、『パズルボブル』を4年やっていた。

めたん 続きも読んでみましょう。

N 画面をクリアしたことは数度しかないからやる。画面を見てピントがズレているようだからやる。疲れているからやり、気晴らしにやる。結果が冗談ではない、といってはやり、動体視力活性化のためにやる。風呂あがりにつかったハンドクリームが肌に吸い込まれるまでやる。そうしないとクリームがコンテ用紙についてしまうから、やむをえずやる。 と、その夜もやった。

ずんだ めちゃくちゃやってるじゃん。

めたん そうなのよ。 もうほぼ、四六時中やってるような書き方よね。

ずんだ ゲームやりながら「冗談ではない」とか、シャアじゃん。

めたん キモは、この書き方よ!

N 「ほかのゲームができないから、この4年ほどこれだけだ」

めたん これね、『ブレンパワード』の直前。1997年頃の記述だから。 富野さんがうつ病だった時期のものなのよね。

めたん つまりこれは、こう読めます。

N 「この4年は、うつ病で、他のゲームができなかった」 「だからパズルボブルだけやっていた」

ずんだ なるほどなのだ。 見た感じパズルボブルは、シンプルでかわいいゲームだよね。 これならできた……ってことなんだな。

めたん その後も、不安なことやつらいことがあると、 逃げ込むように『パズルボブル』をやっている……という記述が続くの。

めたん でも、『ブレンパワード』の作業もはじまってくる。 『パズルボブル』ばかりやっていられない……。 そこで、この章はこんな記述で終わっているのよね。

N (仕事を)「放り出したい」、という言葉と同時にかすめるのは、もう一つのプレッシャー、「そうしたら今度こそ社会的に殺されるぞ」、という言葉だった。

N 「忙しくすることが薬だ!」 ひさしぶりにこの言葉を思い出したとき、『パズルボブル』の画面をけして、2階のデスクに向かうことができる。

ずんだ こうして『ブレンパワード』の作業に取り掛かっていたのだ。

めたん 富野さんにとって『パズルボブル』が、 うつ病の中での唯一の癒しだったことが伝わってくるわね。

ずんだ ゲームは人を救うんだなあ。

N ポイント2.富野由悠季とシューティングゲーム

めたん 別のインタビューでは、こんなこと言っているわ。 『パズルボブル』よりさらに前、 富野さんがだいぶゲーマーだったことがわかるインタビューよ。

N ――富野さんのそのエネルギーは、どこから来ているのですか? 電子ゲームを、やらなかったからだーっ!

ずんだ やらなかったの。

めたん と言いつつ、直後にこう述べているわ。

N この世代だから、ゲームがいちばん初めに喫茶店で流行ったときの『スペースインベーダー』も見てきてるし、触ったこともあるわけ。おもしろいなと、よくできてるなと思ったんだけども、同時に「これはハマったら抜け出せなくなるな」というのもわかったんです。それだけのこと。

N そしたらやっぱり10年くらいで技術が確実に高くなっていって、本当にこれはもうずっと飽きずに遊び続けられちゃうなってなりますもん。だから、もう絶対に触っちゃいけないなと。それで電子ゲームは一切合切触らなくなった。そう思うくらい、電子ゲームはすさまじく衝撃的なものだった。

ずんだ やっぱりやってないじゃん。

めたん でもこのあとで、こう言ってるの。

N 『スペースインベーダー』のあともシューティングゲームがいろいろ流行ったけど、僕、シューティングゲームはかなり好きなんです。つまり僕はゲームが苦手なんじゃなくて、ゲームにハマりやすい質だっていうのを自覚してたからやらなかったんです。

ずんだ シューティングゲームが好きだったんだ。 何やってたんだろう?

めたん 80年代はシューティングゲーム人気がすごかったからね。 名作がいっぱいあるけど、個人的に富野さんがやってそうと思うのは……。

ずんだ ゼビウス!

めたん これはめちゃくちゃ流行ったわね。 ゲーセンでも、ファミコンでも。 当時は衝撃的だったわ。

ずんだ なんでこれが富野さんぽいの?

めたん ゲームとしてもよくできてるんだけど、世界観がすごいのよ。 SF的な背景設定がしっかりしてて、「ゼビ語」と呼ばれる人工言語まであるのよ。

ずんだ そういうのは富野さん好きそうなのだ。

めたん しかもね、このゲームを作ったゲームデザイナーは、 「ゲームの神さま」と呼ぶ人までいるクリエイター、遠藤雅伸さん。 後に、ファミコン版Zガンダムを手掛ける人なのよ。

ずんだ ガンダムとのご縁もあるんだな。

めたん 遠藤さんもガンダムファンでね。 別に手掛けた『イシターの復活』というゲームには、 オマージュとしてハンブラビが登場したりしてるのよ。

ずんだ これハンブラビ?

めたん ちゃんとエンディングクレジットに「ハンブラビ」って書いてあるのよね。

ずんだ ほえー。

めたん とまぁこの通り、富野さんはシューティングゲーム好き。 「自分がハマりやすい」と知ってたから、なるべく手を出さないようにしてた……。 なんて言ってるんだけど。

めたん それも怪しいものだわ。 というのも、こんな証言があったりするのよ!

N ポイント3.富野由悠季とドンキーコング

めたん 初代ガンダム放映当時はまだ学生さんで、 その後プロとして『エルガイム』や『Zガンダム』に参加した、 メカデザイナーの永野護さん。

ずんだ 富野さんとめっちゃ仲の良い、一番弟子みたいな人だよね。

めたん 永野さんがインタビューで、こんな密告をしているのよ。

N 『機動戦士Zガンダム』を作っていたころのある日、山浦さんと富野さんが、オフィスで「つぎの時代はこれなんだよ!」とか言いながらテレビの前で何かをしているんです。(略)そこで動いていたのがファミコンの『ドンキーコング』でした。

ずんだ ファミコンのドンキーコング。

めたん こちらになります。

ずんだ なぜだろう。やったことはないのに、めちゃくちゃ懐かしい。

めたん 1983年7月、ファミコン本体発売と同時にリリースされた、ローンチタイトルよ。

めたん Zガンダムの最初期の企画書は、1984年3月の日付のものがあるわ。 つまりファミコン発売の1年後くらいに、富野さんとプロデューサーの山浦さんで、 「これからはゲームだ!」って盛り上がってた。それを永野護さんが目撃したのね。

ずんだ 仕事しろよ。

めたん さっきも言ったじゃない。 富野さんは、ハマりやすい性格だったのよ。

ずんだ だからってZガンダムの準備しながら、 スタジオにファミコン入れてドンキーコングやってるってどうなの。

めたん ドンキーコングのZガンダムへの影響について、今度考察してみましょう。

ずんだ さすがに何もないと思うのだ。

めたん はっ。もしかして。

ずんだ 何。

めたん ドンキーコングって、アイテムとると、巨大ハンマーで攻撃できるんだけど……。

めたん これが……。

めたん こうなったという可能性があるわ!

ずんだ ないよ。

めたん 話をもとに戻しましょう。

ずんだ 自分でやっておいて。

めたん このときも「これからはゲームだ!」なんて言ってるけど、 実は富野さん、ゲーム業界にかなり期待してたみたいでね。 「自分も仕事として参加してみたい」くらいのこと言ってんのよ。

ずんだ うそ。

めたん 「これからはゲームだ!」、「必ずビッグビジネスになる」、 「自分もそういうところで働いてみたい」……なんて述べたあとで、 「でもお呼びがかからなかったからできなかった」と言って落とすのが定番よ。

ずんだ いかにも富野さんっぽいジョークなのだ。

めたん そもそもガンダム第1話で、アムロがやってたのはマイコンの組み立てよ。 当時のマイコンと言えば、自分で組み立てて、 プログラムも雑誌を見ながら一文字ずつ手打ちするもの。

めたん できたことなんて簡単な計算とゲームくらい。 アムロも後に、自力でザクのシミュレーター作ったりしてたわね。 ゲーム好きの影響かもしれないわ。

めたん 当時のマイコン雑誌には、こんなゲームも掲載されてたわ。

ずんだ 味があるなあ。

めたん 後に手掛けるキングゲイナーでは、主人公はゲームのチャンプ。 割とずっと継続して、ゲームに興味があったのかもしれないわ。

N ポイント4.ゲームは悪だ

めたん 冒頭でも紹介した、ゲームイベント。 日本最大規模のゲームカンファレンスで、 CESA Developers Conference 2009というもの。

ずんだ 会場、パシフィコ横浜のメインホールって書いてあるから、 だいぶ広いとこなのだ。

めたん ゲームファンが集うこのイベントで、富野監督はこうぶちあげた。

N 「僕にとってのゲームは“悪”です」

ずんだ あいかわらず、とんでもねえこと言い出しやがるぜ。

めたん でも、私たちくらいよく訓練された富野マニアなら、わかるわね? これは単なるつかみ。 ここから意外な理由が引き出されていくわ。

めたん なんか要約記事だけでも10ページ近くある、気合の入った講演で、 詳細はぜひレポートを読んでほしいんだけど……。まとめると、こういうこと。

N ・ゲームは生活に必要ない ・エネルギーを食いすぎる ・何億人もゲーム漬けにするのは悪だ エコじゃない

めたん といった直後、こう言って落としてるわ。

N もちろんガンダムをあれだけ売るのもエコじゃない (会場爆笑)

ずんだ やるなあ。すでに俺たち、富野の手のひらの上だぜ。

めたん 「ゲームが悪」ということについては、さらに詳しく語ってるわ。

N 30億人がゲームをすれば生産活動が止まる。100億人なら地球が滅ぶ。だからこれからゲームクリエイターは、悪じゃない、善に向かうゲームを作れ。ゲームに使う時間を「もったいない」と思わないような、人を滅ぼさない、人類を救うゲームを。

めたん さっきのシューティングゲームのインタビューとも通じるわね。 面白くてハマりすぎちゃうから、やめた。

めたん 別のインタビューではこうも語っているわ。

ずんだ これはただの言いがかりでは?

めたん 「好きすぎてつらい」みたいなやつよね。

ずんだ だいぶゲーム好きな人でも、大人なら途中でやめられるのだ。

めたん そこは、富野さんだから!

ずんだ なるほど、全人類が自分のようにゲーム漬けになっては世界が滅ぶから、 それで「ゲームは悪」「人を滅ぼさないゲームを作れ」なんて言ってたのか。

めたん そうね。

ずんだ 鬱になってもパズルボブルやってたくらいだから、 意外とホントに好きなのかもなのだ。

めたん そんでね。 そう考えると、戦争に関するインタビューの意味も見えてくるのよ。

ずんだ 戦争?

めたん いくつかのインタビューで、最近のアニメや映画は、 戦争や戦闘を「ゲームのように」描きすぎる……って言ってるでしょう。

めたん あれ、普通に読むと、 「戦争をライトに」、「子どもの遊びのように描きすぎる」 という意味に読めるけど、実は……。

めたん 「戦争を、面白いもの」、「スリリングで中毒性のある、ハマる形で描くな」 みたいな意味も含んでいるのかもしれないわ。

ずんだ ゲーム大好き富野さんの言葉だとすると、確かに……。 スリリングで、時間を忘れる、楽しいけど恐ろしい描き方、 みたいな意味かもしれないのだ。

めたん 考えてみたら確かに私、『ゼビウス』や『グラディウス』や『ツインビー』やって、 敵パイロットの命の心配したり、戦争の是非について考えたり、しないものね。

ずんだ 時間を忘れて熱中してしまうのだ。

めたん とまぁ、この通り楽しい話題ではじめたはずが、 意外と深いところに話が行き着いたわ。

めたん ボタンを押すだけの湾岸戦争が「ニンテンドー・ウォー」なんて揶揄されたり。 近年では本当にドローンによる遠隔無人戦争が実現されたり。 ゲームと戦争っていうテーマは、だいぶシリアスなのよね。

ずんだ ドローンの話題になると、トレーズ閣下の気配を感じるのだ。

めたん というわけで、ご意見ご感想、ぜひコメント欄にお寄せください。 特にない人は、人生で一番やったゲームの名前書いといてね。

めたん なおこの動画は、メンバーシップ限定記事として公開した後、 いただいたコメントや感想を踏まえてブラッシュアップし動画化したものです。 メンバーシップの皆様、誠にどうもありがとうございます。

ずんだ ありがとうございます。

めたん 当チャンネルでは資料調査や文字起こしなど、地道なリサーチを続けています。 流行や再生数に左右されず、マニアックな動画が作れるのはメンバーシップのお陰。 いつも応援ありがとうございます。

ずんだ メンバー限定コンテンツの他、コメント欄のお返事、 質問やリクエストにお答えするなど特典も多数。ぜひ来てね。

めたん それでは、FFは5とかタクティクスとか、 ジョブ育成系のシリーズだけ異常にやり込んだ四国めたんと、

ずんだ ガチャポン戦記、ザ・グレイトバトル、ヒーロー戦記、スパロボ……。 子供のころ買ったゲームは ほとんどガンダムゲーだったずんだもんでお届けしました。

めたん ゲームは悪! またね!

ずんだ ゲームは悪! またね!